鉄郎(子供) |
「寒いなぁ・・・ちっとも暖かくならないや。」 |
星野加奈江 |
「ここにいらっしゃい。母さんが暖めてあげるわ。」 |
鉄郎(子供) |
「うわぁ、暖かいな、母さんって。」 |
星野加奈江 |
「そうぉ?」 |
|
|
鉄郎 |
「母さんと一緒の最後の晩だ。この時、母さんはまだ生きていた。暖かい手で、僕を抱いてくれた・・・」 |
|
|
鉄郎(子供) |
「母さん?いよいよ明日はメガロポリスに着くんだね。僕、一生懸命母さんを手伝ってパス買うんだ!一緒に999に乗ろうね、母さん!」 |
星野加奈江 |
「ええ、勿論よ」 |
|
|
鉄郎 |
「・・・そうだ!今のうちに知らせておけば、母さんは死なずに済む!時の流れを変えることが出来るかも知れないぞ!」 |
|
|
鉄郎 |
「母さん!僕だよ!鉄郎だよ!このドア開けてよ!母さん!!」 |
星野加奈江 |
「風が出てきたようね。」 |
鉄郎(子供) |
「うん。」 |
鉄郎 |
「母さん!ここを開けてよぉ!母さんったら!!」 |
|
|
鉄郎 |
「あっ!機械伯爵だ!いけない、このままじゃ!」 |
鉄郎 |
「やめろー!母さんを殺すな!やめろー撃つな!母さんを殺さないでくれ!」 |
(銃声) |
鉄郎 |
「殺さないでくれー!」 |
鉄郎 |
「・・・あ・・・あ・・・母さん・・・!・・・母さん、母さーん!」 |
|
|
メーテル |
「鉄郎・・・」 |
鉄郎 |
「はぁ・・・はぁ・・・」 |
黒騎士ファウスト |
「どうだ鉄郎、過去を見た感想は?・・・あれは悲劇だった。例えようもない悲劇だ。死ねば全て終わる。生身の体の宿命なんだ。これでもまだプロメシューム様に歯向かうというのか?お前も我々と同じ様に、永遠に生きたいとは思わぬか。永遠の命さえあれば、死も別れも起こりはせぬ!」 |
鉄郎 |
「違う!死んだら終わりじゃない。俺の体には赤い血が、殺されたお袋や親父達と同じ赤い血が流れているんだ!俺は親父に誓った。赤い血のしみこんだ大地へ必ず生きて帰るってな!」 |
黒騎士ファウスト |
「父親に誓った・・・?」 |
鉄郎 |
「死んでいった年老いた仲間達さ。俺のために血を流してくれたんだ!」 |
黒騎士ファウスト |
「そうか、それがお前の父親か。」 |
鉄郎 |
「その親父のためにも、俺は貴様を!!」 |
黒騎士ファウスト |
「はっ!それは戦士の銃!お前がその様な立派な銃を!」 |
鉄郎 |
「早く抜けぇ!」 |
黒騎士ファウスト |
「・・・どうしても、私と戦いたいのか・・・」 |
鉄郎 |
「ああそうとも!さぁ、抜けったら!!」 |
黒騎士ファウスト |
「・・・よかろう・・・」 |
メーテル |
「いけない!鉄郎!」 |
(銃声) |
メーテル |
「ああ〜〜っ」 |
鉄郎 |
「メーテル!!」 |
|
引き金を引く二人の間にメーテルが立ちふさがった。
光の弾がメーテルの体をつらぬく。
|
|
鉄郎 |
「メーテル!・・・明かりが消えた。真っ暗だ!」 |
黒騎士ファウスト |
「ハハハハハ・・・フフフフフ」 |
鉄郎 |
「しまった!身動きが取れない・・・」 |
黒騎士ファウスト |
「フフフフフ・・・どうした鉄郎。私にはお前がよく見えるぞ。」 |
鉄郎 |
「くっそぉ・・・どこだ?・・・そこか?」 |
(ミャウダー) |
(「あせるな鉄郎。じっとしていれば敵は動く。敵の方から近づいてくる。」) |
鉄郎 |
「そうか!落ち着くんだ。・・・・・そこか!!」 |
|
|
(戦士の銃の銃声) |
黒騎士ファウスト |
「はぁっ!」 |
鉄郎 |
「・・・やったぁ!」 |
黒騎士ファウスト |
「・・・鉄郎。お前は、私が考えていたより、多くのことを学んでいた様だな。しかし、ここで私に負けた方がお前の為だったかもしれん。」 |
鉄郎 |
「なにぃ!?」 |
黒騎士ファウスト |
「いいか、よ〜く聞いておけ!お前は、限りある命の素晴らしさを信じて旅をしているが、実は絶望に向かって旅を続けているんだぞ!もうじき、その絶望を嫌というほど味わう。・・・もうじき」 |
鉄郎 |
「俺がどこへ行くのか、999の行き先がどこか知っているのか!?」 |
黒騎士ファウスト |
「機関車も、そしてメーテルも、お前の行く先を知っている。」 |
鉄郎 |
「・・・何だって!?」 |
黒騎士ファウスト |
「さらばだ、鉄郎。私がここからいなくなれば、コントロールセンターは崩壊する。お前が生きていたら、また会おう。」 |
鉄郎 |
「あっ!待てぇ!」 |
|
コントロールセンター爆発マデ アト3分
|
|
鉄郎 |
「・・・メーテル!一体、どこに行ってしまったんだ!まさか、あの傷で死・・・!?いいや、そんなことは・・・!」 |
|
コントロールセンター爆発マデ アト2分3秒
|
|
鉄郎 |
「メーテルゥ!」 |
|
メタルメナ |
「二人は!?」 |
車掌 |
「それが、ま〜だ、帰って来ないんだ!あ・・・困った!困ったぁ!!」 |
メタルメナ |
「早く逃げ出さないと、私たちまで爆発に巻き込まれてしまいます!もう発車して下さい!」 |
車掌 |
「いいやぁ、もう少し!もう少しだけ待ってみよう!・・・は?・・・は?あれは・・・鉄郎さんだ!」 |
車掌 |
「よし!発車しましょう。鉄郎さ〜ん、早く乗って下さぁい!!」 |
|
ボォ〜
|
|
鉄郎 |
「メーテルは?メーテルは!?」 |
車掌 |
「列車が動き出しました、早く乗って下さい!」 |
鉄郎 |
「メーテルは戻って来たか!?」 |
車掌 |
「いえ、まだです。」 |
|
コントロールセンター爆発マデ アト60秒 モウ解除出来マセン
|
|
鉄郎 |
「先に行ってくれ、降りて探してくる!」 |
車掌 |
「いいえ、いけません!」 |
鉄郎 |
「何をする、離せぇ!」 |
車掌 |
「・・・あ!もう間に合いません!」 |
|
コントロールセンター爆発マデ アト40秒
|
|
鉄郎 |
「離せ!離せったら!メーテルを探して来るんだ!」 |
車掌 |
「ダメです!!」 |
鉄郎 |
「離せ!離してくれぇ!!・・・あ・・・離れていく・・・メーテルゥ!!コントロールセンターが!!」 |
|
(コントロールセンター爆発) |
鉄郎 |
「あああ・・・メーテルーっ!!メーテルーっ!!!」 |
|
ボォ〜〜
|
|
閃光を放って砕け散るコントロールセンター。
果たして、メーテルはその爆風に巻き込まれてしまったのか・・・?
灼熱の球体を遙か眼下に。銀河鉄道999は、アンドロメダへの旅を続ける。
|