ひび割れた99番ホーム。
壊れた天井から差し込む月光を浴びて幻のように999がいた。
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(蒸気音) |
車掌 |
「鉄郎さ〜ん!」 |
鉄郎 |
「車掌さん!」 |
車掌 |
「お待ちしていたんです!早く乗って下さい!」 |
鉄郎 |
「待って!」 |
車掌 |
「ささ、早く乗って下さい!あぁ、間に合わない!」 |
鉄郎 |
「待ってくれ!」 |
車掌 |
「あぁ・・・はぁ、何とか間に合った!」 |
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老パルチザン |
「お前が戻ってきて地球を取り戻したとき、大地を掘り返したら、わしらの赤い血が流れ出すだろう・・・」 |
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老パルチザン |
「ここは・・・我々の星だ、我々の大地だ!その赤い血を見るまでは・・・死ぬなよ!・・・倅(せがれ)よ!!」 |
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鉄郎を乗せ、今一度汽車が行く。
銀河鉄道999は星空を駆け上る!
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車掌 |
「しかし、鉄郎さん、よくまあご無事で!本当にお懐かしゅうございます。」 |
鉄郎 |
「車掌さん、この前、メーテルはどこで降りたの?」 |
車掌 |
「い・・・いや・・・それが、そのぉ・・・」 |
鉄郎 |
「やっぱり冥王星かい?」 |
車掌 |
「いや、それが・・・私の知らないうちに降りてしまわれまして・・・。いやあの、一人旅も案外いいもんですよ、ハイ」 |
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鉄郎 |
「はっ!機械化人!」 |
車掌 |
「あ・・・鉄郎さん。この人はウエイトレスのメタルメナさんです。」 |
鉄郎 |
「メタルメナ?」 |
車掌 |
「はい、クレアさんの後任でして・・・」 |
鉄郎 |
「はぁ、そうだったのか。」 |
メタルメナ |
「お客さん、もし食堂へお越しでしたら、その汚い身なりでは困ります。」 |
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車掌 |
「・・・あ・・・不愉快でしょうが我慢して下さい。時代が時代ですし、今時、行先不明の列車のウエイトレスになる娘なんて、いやぁ、おいそれとは・・・」 |
鉄郎 |
「行先不明?この列車が!?」 |
車掌 |
「はい。え、何しろ行き先は機関車しか知らないもんですから。」 |
鉄郎 |
「ええ?本当?」 |
車掌 |
「はぁ・・・はい。今の銀河鉄道がどうなっているのか、従業員の私にもさっぱりなんです。」 |
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(食堂車にて) |
メタルメナ |
「はい、ご注文のステーキ。生身の人間って不便ですね。そんな非衛生的な物を食べないといけないなんて。」 |
鉄郎 |
「なに・・・?」 |
メタルメナ |
「その点、あたし達、機械化人はカプセルエネルギーを補給するだけです。」 |
鉄郎 |
「フッ・・・食べる楽しみのない食事なんてナンセンスだよ。」 |
メタルメナ |
「フフフ・・・」 |
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車掌 |
「いや・・・あははは・・・おかしな娘だ。」 |
鉄郎 |
「車掌さん、いつの間に・・・」 |
車掌 |
「あの・・・999のウエイトレスになったのは、この世で一番美しいものを手に入れるためとか・・・」 |
鉄郎 |
「この世で一番美しいもの?」 |
車掌 |
「はい。でも、私は何のことか・・・。ま、今回は分からない事ばかりで私はもう・・・そうだ!ひとっ風呂浴びてさっぱりしようかな。」 |
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鉄郎 |
「何だあの音!」 |
幽霊列車 |
「999ニ告ゲル!支線ニ入リ本線ヲ開ケロ!我ガ列車ノ通過ヲ妨ゲテハナラナイ!」 |
機関車 |
「シカシ、私ハ正規ノ軌道上ヲ・・・」 |
幽霊列車 |
「軌道ヲ開ケロ!愚カ者!」 |
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(幽霊列車通過中) |
車掌 |
「ああ・・・あれが噂の幽霊列車ですよ!」 |
鉄郎 |
「幽霊列車?」 |
鉄郎 |
「あの*****ん?何だあの音は?ドラフト音に混じって、人が泣いている様な声が聞こえる・・・」 |
鉄郎 |
「車掌さん、あの列車には一体、何を積んでいるんだ?」 |
車掌 |
「わ、わわ、分かりませんよ、あたしには・・・!」 |
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機関車 |
「未ダカツテ、他ノ列車ニ追イ抜カレタコトハ無イノニ・・・。ソレモ、アノ様ナ得体ノ知レナイ列車ニ・・・クヤシイ・・・999ノ恥ダ!本当ニ情ケナイ・・・」 |
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太陽系に別れを告げ、漆黒の宇宙をひた走る999の周りには、破壊された装甲車や貨車が漂っていた。
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車掌 |
「反乱の跡です。」 |
鉄郎 |
「反乱?」 |
車掌 |
「はい。トレーダー分岐点のあるヘビーメルダー周辺が特に活発でして。でも、やられたのはみんな機械化人の装甲車や兵器ばかりです。」 |
鉄郎 |
「そうか。この宇宙にも仲間がいたんだな・・・」 |
車掌 |
「・・・あ!そう!そうそう忘れてました。鉄郎さん、次の停車駅が分かりましたよ!」 |
鉄郎 |
「えっ、どこだい?」 |
車掌 |
「えぇ、次の停車駅はトレーダー分岐点のあるヘビーメルダー」 |
鉄郎 |
「ヘビーメルダー?」 |
車掌 |
「・・・え・・・の予定でしたが、ヘビーメルダーの大気は戦乱で極度に汚染され、駅の施設も破壊されたため通過するとのことです、はい。」 |
鉄郎 |
「そんなぁ!」 |
車掌 |
「んな・・・その代わりに臨時にラーメタル星に停車するそうです。」 |
鉄郎 |
「ラーメタル?」 |
車掌 |
「はい。ヘビーメルダーの衛星です。何でも百年周期の楕円軌道を回っているそうでして、はい。」 |
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(惑星ラーメタル到着) |
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「惑星ラーメタル、この駅で降りる乗客は身分証明書を見せ、所持品の検査を受けて下さい。」
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鉄郎 |
「・・・くそ〜、この星も機械化人に占領されてんのか!」 |
メタルメナ |
「ここはメーテルさんの生まれ故郷です。」 |
鉄郎 |
「何だって!?」 |
メタルメナ |
「メーテルさんの生まれ故郷だと言ったんです。お疑いなら、ご自分の目でお確かめになることです。」 |
車掌 |
「あっ、鉄郎さん!お・・・お・・・おやめになった方が。こう警戒が厳しくては無理だと・・・」 |
鉄郎 |
「大丈夫だよ。」 |
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(武装ヘリ来襲) |
鉄郎 |
「はっ!機械化兵の武装ヘリだ!」 |
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鉄郎 |
「しまった!見つかった!」 |
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鉄郎 |
「うわぁ、やられた!・・・くそぉ、こんなところで・・・」 |
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鉄郎 |
「あっ!ヘリコプターがやられた・・・一体誰が・・・メーテル・・・」 |