| 025 松本作品の輪-1 |
|
−松本零士の各作品は大きな物語である輪≠構成している!?−
|
| |
松本零士の作品(原作版漫画・TV版アニメ・劇場版アニメ・OVA版アニメ)の特徴の一つに各作品間の関連性が上げられる。
1979年、劇場版『銀河鉄道999』のりん・たろう監督と松本零士は、雑誌主催の座談会において次のように語っている。 |
松本 「『ハーロック』と『エメラルダス』と『銀河鉄道』っていうのは、もともと同じ話しなんですよ。部分的に完全にクロスしてる所があるんで、同じ時代の同じ次元の中で動いていた物語なんです。ただ、その人々によって生き方が違うために、それぞれに物語の重点を置いていると別の話のように見えるけど、ずっと進めていくとどこかで一緒になるんです。もともと同じ設定の中から生まれた三人の主人公が別々の旅をしているのが、この映画の中で一緒になる部分があるんです。」
りん 「いろんなマンガ家の人がいるけれど、僕は、松本零士さんっていうのはちょっと異色だと思うのね。何が異色かというと、モチーフが本当に一つなんですよね。だからこそ『ハーロック』も『エメラルダス』も、『男おいどん』にしてもそうなんだけど、松本世界が総てつながってもおかしくないわけです。見る側は、『ハーロック』は『ハーロック』、『999』は『999』、『エメラルダス』は『エメラルダス』で単発で見るから、なんで、どこでつながるのかしらと思っても、別になんら抵抗なく、一つの世界として……。むしろ本当は一つの世界なんですよね(笑い)。」
松本 「うん。みんな一つです。」
りん 「それが勝手に独立しだして行ってるのが今の形なんだけど、本当は全部手綱をたどれば、一つのところだと思うんです。その『一つ』が、今度はっきり表に出るわけです。」
松本 「あれには、おいどんの方の遠い子孫も出てくる。」
りん 「遠い子孫?(笑い)。」
松本 「大事な役でね。あれは、はっきりおいどんの子孫ですよ。名まえまで同じで。大山登太じゃないけれど、遠い子孫が現われるんです。登場人物っていうのは、みんな中学生の時に作ったそのままですよね。それが、あっちへ顔を出し、こっちへ顔を出し、背景が多少違う部分で別々の物語を繰り広げているだけで……。」
― 「それが、今度の作品で集まってくるわけですね。」
松本 「そうですね。キャラクター的には全部出てくるんです。」
― 「単に顔を見せるっていうんじゃなく、ストーリーに密接に関わってくるんですか?」
松本 「ええ」
りん 「特別出演みたいなことじゃなくて、完全にからんでくる。特別出演では面白くないでしょ。」
松本 「それじゃゲストになっちゃう。」
りん 「たとえば、手塚さんの世界ってそうでしょ。『鉄腕アトム』の中にリボンの騎士が出たりっていうのは、特別出演ですよね。そういうのとは全然違うのね。松本さんが昔から持ってきた役者さんが全部演じるということだから、全然おかしくはないわけです。」
※ ― → 司会・金春智子
(『アニメ画集 銀河鉄道999 PART4 週間少年キング陽春大増刊4月22日号』少年画報社、1979年、80頁) |
|
つまり、『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』と『クイーン・エメラルダス』と『銀河鉄道999』の3作品はもともと同じ一つの話し≠ナあり、同じ時代の同じ次元の中で動いていた物語≠ネのである。
よって、松本零士の作品の枠を越えて各作品に登場したキャラクター達は、特別出演や顔見せ的なゲストではなく、役としてストーリーに密接に関わっているのである。
松本零士は、後にこのもともと同じ一つの話し=E同じ時代の同じ次元の中で動いていた物語≠フことを輪≠ニいう言葉で表現してみせるのである。
松本零士から輪≠ニいうキーワードが初めてマスメディアに登場したのは、1981年にサンケイ新聞に連載していた原作版『1000年女王』を総集編した『ワクワクシリーズ』(サンケイ出版)のインタビュー記事であったと思われる。
そのインタビューにおいて松本零士は次のように語っている。 |
WW 「ところで、松本さんの作品には、ハーロック、エメラルダス、999などスペースロマンが数多くありますが、これらの作品と、1000年女王の関連はどうなっていますか?」
松本 「まだ、ハッキリとタネ明かしはできませんが、いまいえることは、それぞれが直接、親戚関係にあるということなんです。」
WW 「そうしますと、松本さんのお描きになるスペースロマンは、すべて親戚関係にあるということですか。」
松本 「そうです。全部が完成すると、一つの大きな輪ができる。一つ一つの作品はその輪の一部分であるということです。」
WW 「1000年女王でその輪が完結するのですか。」
松本 「いや、まだまだ続きます。あと、二つ、三つ描かないと……。」
WW 「すると完成はいつごろになりますか。」
松本 「85年には完成する予定です。」
WW 「1000年女王の新聞連載が終わって二年後ですね。」
松本 「ただし、途中でヘタバラなければの話ですが(笑い)。」
WW 「999と1000年女王のキャラクターが……たとえば、メーテルと弥生さん、鉄郎と始クンは非常に似ているのですが、これも親戚関係だからですか。」
松本 「ええ、ハッキリと親戚関係にあります。親戚よりもっと近いかもしれませんが、あとはムニャムニャ。ただ、親、兄弟的によく似ているということだけはいっておきます。」
WW → ワクワク・シリーズ編集部・古川淳
(『新竹取物語 1000年女王 PART3(劇画版)』1981年、サンケイ出版、124頁) |
|
松本 「それに、来春には『1000年女王』を封切りますし、その後、夏には『我が青春のアルカディア』のロードショウが決定していますから、ここでリズムをつけないと、三本とも総崩れになりかねない。スタッフも全員で納得して出来上がった作品ですから、この『さよなら銀河鉄道999』は、ぜひみなさんで見ていただきたいですね。」
WW 「この映画で『999』の秘密がわかるわけですか。」
松本 「そうです。それに、私の宇宙物の作品が、宇宙で一つの輪となり、完成するんです。マンガの方は、『1000年女王』がこの宇宙作品の集大成になるわけですが、アニメ映画は、『我が青春のアルカディア』で集大成しようと思っているんです。」
WW 「それは楽しみですね。ところで、このPART4の最後で、雪野弥生さんが、ラーメタルでは、「ラ・アンドロメダ・プロメシューム」という名前であるとなっていますが、メーテルの母親もプロメシューム…関連性があるんですか……。」
松本 「ええ、これは『999』の映画を見ていただければ、はっきりわかるでしょう。ですから、ちょっとバラせば、この『1000年女王』はメーテルの母親にまつわる物語、つまり、時間的には『999』以前のもので、私の宇宙物にとって、絶対に欠かせない作品なんです。この『1000年女王』が無いと、一つの輪のいちばん重要な接点が無くなるんです。」
※WW → ワクワク編集部
(『新竹取物語 1000年女王 PART4(劇画版)』1981年、サンケイ出版、124〜125頁) |
|
つまり、松本零士の各作品は「全部が完成すると、一つの大きな輪ができる。一つ一つの作品はその輪の一部分である」ということなのである。
さて、当初輪≠ニは1979年に松本零士が語った、もともと同じ一つの話し≠ニ同じ時代の同じ次元の中で動いていた物語≠フ二つの意味と同義語にとらえていた。
しかし、1981年になって『銀河鉄道999』と明らかに時代が違う『1000年女王』との関連性が発覚したこと、もともと1979年に松本零士が前出の座談会(『アニメ画集 銀河鉄道999
PART4 週間少年キング陽春大増刊4月22日号』少年画報社、1979年、80頁)で『男おいどん』と『銀河鉄道999』との関連性を認めていたという二つの点から同じ時代の同じ次元の中で動いていた物語≠ニいう狭義な意味ではなく、もともと同じ一つの話し≠ェ、さらに時代・次元を超越した物語、つまり輪≠ノ発展した、と言えるのではないだろうか。 |
| |
|
MRI
|
| |
|
026 松本作品の輪-2
|